人事部はどこに注目する?ドイツの若手採用事情

日本でも、20代前半と40代後半とでは転職の方法が根本的に異なるように、ドイツでも若手と見なされる年代と一人前と見なされる年代とでは就職の方法が異なります。そうした場合、人事部から評価されるポイントも異なり、どの項目に注意して就活をおこなうかは、年代によりけりと言えるでしょう。

今回の記事では、ドイツの転職活動で若手と見なされる年代、およびそれに見合った転職方法、人事部からチェックされる項目について解説をおこないます。

ドイツで若手ってどこまで?

判を押したように横並びの教育システムの日本にあっては、高校卒業→大学卒業→(大学院卒業)までの流れの大筋が人によって大きく違うことはないでしょう。留年や浪人など、1~2年の誤差はあれど、おおよそ20代前半で大学を卒業、というメインストリームから大きく逸脱することは少ないと言えます。

かたやドイツの場合、学部を変えたり、海外に留学したり、大学院に進学したり、休学して旅に出たり、とギナジウム卒業後の進路はバラバラで、学業を終える年齢は平均で20代後半、場合によっては30代前半で社会に出るといった学生も少なくありません。

結婚平均年齢において日本とドイツでは3~4年のひらきがあることから分かる通り、ドイツで社会人として一人前とされる年齢は、肌感覚で30代前半あたりではないでしょうか。日本とドイツとで結ばれているワーキングホリデービザの年齢制限が31歳の誕生日までなので、少なくともそこまではドイツで「若手」と扱われて良い年齢と言えるでしょう。

ドイツの若手のキャリア(就活)

こうした「若手」と扱われる年齢層の就職活動は、30代や40代のシニア層との就活とは異なり、実戦経験を求めるドイツの就活市場にあってもまだかろうじて「ポテンシャル」を鑑みてくれる傾向にあります。以下、学業や職歴など、若手がドイツで就活をおこなう際に人事部からチェックされる項目について確認をおこないましょう。

学業

誰もがみな、人生最初の就職までは職歴ゼロからのスタートとなります。ドイツにおいて正社員として採用される前に皆インターンなどを通じて職歴を稼ぐことが通例ですが、さりとてそのインターンに応募する前、誰にでもみな共通して「完全に職歴ゼロ」であった時期があったことでしょう。

そういった場合、企業側の若手のポテンシャルの判断基準はどうしても「学業」に傾きがちです。最も重視されるテーマは「学業での専攻が、職種とマッチしているか」どうかで、ドイツで大学や大学院に進学した日本人の就労ビザの取得要件としても「学校の専攻と職種が同じであること」が挙げられている通り、ドイツにおいて自身の専攻と職種に一貫性があることは非常に重要なテーマです。

加えて、その専攻上でどこまで結果を残しているか。具体的には関連する専攻におけるGPA(ドイツ語ではNotenで、GPAと異なり1.0に近ければ近いほど好成績)の高さや、学位の高さ、といった点が重要視されます。大学の名前もそれなりに考慮の対象には入りますが、入ることよりも出ることのほうが難しいとされるドイツの大学においては、やはり大学時代の成績がものをいう訳です。

FOCUS紙を参考に著者作成

もっとも、こうした学業偏重の採用は応募者が若手の頃に限り、キャリアが進み次第に職歴が学歴を上回るようになると、実務経験重視のドイツ社会においては次第に学歴の価値は薄れていく傾向にあります(とはいえ、やはり転職市場で学生時代の成績や専攻を重視する企業は多く、ある種一生ついてまわるものかもしれません)。

その意味で、日本の大学生の就活市場で一般的な「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」の模範解答はドイツにおいて「学業」一択であるわけで、部活動やサークル活動などの成果がここでは全くと言ってよいほど価値を持ちません。

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ソフトスキル

結果主義的な側面の強いドイツ社会ですが、かといってソフトスキル部分もある程度評価対象に加わります。特に、社会経験が少ない若手にあっては当人のポテンシャルの指標となるソフトスキル部分は重要で、チームワーク、分析的思考などドイツ人らしい評価項目が重要視されるわけです。

STATISTAを元に著者作成

こういったソフトスキルの有無は、資格や履歴書からは判断がつきにくいため、どうしても面接ベースで人となりを判断する形になります。また、職歴が有る場合、前職の上司や同僚に連絡を取るケースも少なくありません。

ドイツの若手のキャリア(転職)

転職文化としてのイメージが強いドイツですが、必ずしも多くの人間が転職を経験しているわけではなく、場合によっては全くしないケースもあれば、1~2回の転職でキャリアを終えるケースも少なくありません。 統計的には、全く転職をおこなっていない層が全体の14%で、66%は1~5回の転職と、日本とあまり変わらないような「ほどほど」の転職層というわけです。6回を超える極度の転職者というのは、全体の8%にしか満ちません。

STEPSTONE社資料を元に著者作成
そのため、転職イメージの強いドイツですが、3~4回以上転職を繰り返しているような若手は人事部もやや危険だと判断します。以前の会社を辞めたことに対して明確な理由が説明できるのであればともかく、単に転職回数が徒に増えてしまうとドイツと言えど転職がしづらくなってしまいます。
 

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