【保存版】ドイツで就職・転職直後の失敗しない振る舞い方まとめ

ドイツ社会では就職直後の3ヶ月~半年は試用期間と見なされ、雇用者側は新入社員の仕事ぶりを蛇のように厳しく観察します。この試用期間を生き残り長期雇用を勝ち取ることは、ドイツ人にとっても、ドイツで就職した日本人にとっても重要なテーマの一つで、多くの就職セミナーや大学の就職課でも論点にあがります。

一説には全体の2割の新入社員が解雇対象になるという試用期間地獄ですが、一体どのような振る舞いが最適なのでしょうか?日本人がドイツの会社で生き残るために必要となる行動原則について、詳しく解説していきたいと思います。

業務上の振る舞い

就職、あるいは転職後直後は、ドイツの仕事生活の中でも最も従業員不利な状況であると言わざるを得ません。通例、ドイツの企業は就職後3ヶ月~半年の期間を「試用期間」に位置付けており、この期間内には雇用主は従業員を比較的容易に解雇することが可能です。つまり、右も左も分からない、新しい職場に馴染むまで数ヶ月かかる、などと言い訳していると、あっという間にこの試用期間が終了してしまい、「パフォーマンスが残せなかった」という理由で契約解除の仕打ちがなされるわけです。

慣れないながらも、我々日本人が短期間の試用期間内で認められる結果を残し、ドイツ社会の第一歩を生き抜くためのルールは、以下の3点の行動原則に集約されるといって過言でないでしょう。

  • 自分で考えて積極的に行動する
  • 不明点は即座に質問する
  • YES/NOを明確にする

ドイツ社会において、日本人の美徳とする「協調性」「思いやり」「遠慮や気配り」「忖度」といった行動原理は必要とされません。上司が忙しいかも、同僚に失礼かも、といって質問の機会を伺っていると、どんどんと自分のチャンスを失うことに直結するわけです(勿論、ケースバイケースで、同僚がたくさんの電話に追われててんてこ舞いの時に声掛けしても後にしてくれ、と言われますが・・)。

この行動原則を念頭において、以下に就職後に必要となる具体的な行動について一緒に目を通してきましょう。

権限・業務の確認と交渉

ドイツの仕事社会では押しなべて即戦力が期待されます。そのため、全く経験のない新卒採用、という採用はほとんど見当たらず、卒業直後であってもインターンや大学のアシスタントなどで既に仕事を経験したことのある人間が重宝されがちです。

ゆえに、就職直後も長い時間をかけた新人研修などが用意されているというよりも、即座にチームのメンバーとして活躍し、結果を残す人間性が求められているわけです。一般的に半年間と区切られた試用期間中に結果を残すためには、まず「何を満たすことで結果を評価されるのか」の定義を明確にしておく必要があります。

  • ターゲットや短期目標の選定
  • そのために必要な権限や知識の確認
  • 必要なモノがあれば積極的に上司にリクエスト

加えて、その結果を満たすために必要な権限の確認をおこないます。例えば、半年後までの目標が売上100万€を達成することであれば、そのために必要な権限やサポートや知識(例えば、新規商品の開発が必要であれば他部署との折衝権限、サンプルが欲しければ幾つの数量をいつまでにほしいのか、等)に関しては、与えられるのを待つのではなく、基本的に上司との直接交渉で勝ち取る仕組みです。

早期に会社プロセスにキャッチアップするためのおススメ手段は、自身に直接関係のない部署のテーマであっても、上司にお願いしてミーティングや研修に参加させてもらうことです。多くの場合、社内で与えられる知識は限定的なもののため、実際の意思決定フローがどのようになっているのか、各部署の温度感、などを理解するためにも、こうした社内のネットワークや機会は積極的に利用しましょう!

人事ルールの確認

有給やホームオフィス、病欠の時の取り決めなど、会社によっては異なるルールや申請方法が適用されているので、就職後すぐに確認すべき項目の一つでしょう。具体的には、こうした申請(有給やホームオフィス)の際には「誰に(上司OR人事部)」「いつまでに」「どのように」申請すべきか、という点を明確にしておく必要があります。また、コロナ禍環境では陰性証明の提出など、独自ルールを設ける会社も散見されました。

こうした人事にまつわる要点はフォーマットのようなものが定まっていて書類などで参照できる会社もあれば、口頭で確認するようなケースもあります。こうしたルールを知らずに「こうだと思った」「知らなかった」という言い訳は通用しません。人事や上司の不興を買わないためにも、「不明点はすぐに質問」の行動原理に則って対応しましょう。

IT周りの確認

快適で効率的な仕事生活を送るためには、パソコンや携帯電話などのIT備品に不足があってはいけません。また、備品がいくらそろっていても、そのセッティングがなされていなかったら一々IT部署に確認して不具合の調整をおこなってもらう羽目になるので、就職して1週間以内にすべての問題点、不明点は解決しておきたいところです。

また、メールアドレスや電話番号、パソコンのセキュリティ設定なども一般的にはIT部の領野で、特にデータ保護、コンプライアンス保護などドイツ社会においても厳格化が進んでいる点に関しては、最初のうちに不明点を明確にしておきましょう(私用メールアドレスの使用の不可、USBの使用不可、パスワード設定ルール、等)。こうしたコンプライアンス上のルールを軽視化すると、顧客情報漏洩によって会社に迷惑がかかるだけでなく、罰金が発生するケースも生じます。

その他重要ルール確認

上述のような重要ルール以外にも、会社によっては細かいルールが規定されています。具体的には、オフィスの戸締り、キッチンやコーヒーメーカーの使用、駐車場の取り決め、ゴミ出し、文具の使用、辺りがそれに該当するのではないでしょうか。こうした細かいルールのとりまとめは、明文化されていないケースも少なくないため、取りまとめである総務部に確認するか、それらを日常的に使用している同僚に確認するなどの方法が吉でしょう。

また、社内ルールなどはアップデートされることもあるため(例えば、コロナ環境下では窓の開け閉めや消毒のルールが多くの会社で追加された、等)、全員宛に送られてくるメールに関しては目を通し、社内の情報に乗り遅れないようにしましょう。

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人間関係上の振る舞い

仕事に直接関係のないような人間関係上の振る舞いも、初めての職場、場合によっては初めてのドイツ就職とあっては暗中模索の状態ではないでしょうか。公私を分別すると言われるドイツ社会にあっても、人と人との繋がりはビジネスの根底を為すものです。

人間関係上の正しい振る舞いを見極める際にヒントになるのが「同僚の立ち振る舞い」です。「郷に入っては郷に従え」のことわざの示す通り、会社で働く人々の言動や立ち振る舞いはある程度その社風を表すもので、彼らのやり方を真似ていれば的は的外れになることはありません。また、ドイツ社会では分からないこと、不明瞭なことはとにかく「聞く」ことで解決されるので、周囲を観察して分からなければ思い切って聞いてしまうのが良いでしょう。

服装

ドイツの職場での服装文化は個々の仕事場に応じて異なります。金融業界や老舗の会社であれ、スーツにネクタイといった固い感じの服装が適用されますし、スタートアップやIT企業ではラフな格好も目立ちます。また、社内の部署によっても「客先に出る部門」「バック業務の部門」などによって着られる服装はまちまちであり、日本の新卒採用時のリクルートスーツのような一辺倒の回答が用意されているわけではありません。

カジュアル
フォーマル

どういった格好が好まれているのか、同僚の格好を観察するか、あるいは思い切って同僚や上司に聞いてみても良いかも知れません。服装が変だからと言って直接査定に影響するわけではありませんが(よっぽど極端な例でない限り)、ドイツの諺で「Kleider machen Leute(服装が人を形作る)」と言われるように、周囲のドイツ人は自分の思うよりも服装に気をかけているものですので、配慮が必要です。

呼び方

ドイツ語には「Du」と「Sie」という第二人称の呼び分けが存在します。両方とも日本語の「あなた」、英語の「You」に該当する呼称ですが、前者はカジュアルな呼び方で、後者はオフィシャルな呼び方となります。大抵の場合、前者(Du)はファーストネーム呼びとセットで、後者(Sie)は敬称とセットで使用されます。

この曖昧な「Du」と「Sie」の定義はドイツ在住の外国人だけでなくドイツ人も困惑させることが少なくなく、一般的に「Sie呼び」が良いとされる「教授」「上司」「顧客」なども、場合によっては「Du呼び」が適用されることもあり、ケースバイケースと呼べるでしょう。 さて、この「Du」「Sie」どちらのルールが職場で適用されるかに関してですが、社風によって異なるため、周囲の観察、または思い切って同僚に聞いてみることが必要になります。一般論で語るのであれば、職場では以下のような住み分けがなされています。

  • 同僚に対しては「Du」
  • 上司に対しては「Sie」
  • どちらか分からなければ「Sie」を使っておく
  • 「Sie」を使用していても、距離感が近づくと「Du」呼びになることも多い
Stern紙を元に作成

例えばStern紙の調査では70%近い人々が職場の同僚間で「Du」を使用していますが、上司との間で「Du」を使用している人の割合は20~30%にまで下がります。

デスク回りの装飾

ドイツのドラマや映画を見ていると職場の風景が映し出されますが、その際に職場に花やカレンダー、場合によってはプライベートな写真、お菓子、絵やデコレーションなど仕事に関係のない装飾品を目にしたことはないでしょうか?

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ドイツの社会ではデスク管理は個人の裁量に任されていることが多く、仕事効率を良くするために、こういった装飾や必需品の設置もよほど大掛かりなものでない限り許される傾向にあります。

注意すべき点としては、ここでも「周りの観察」が重要で、会社によっては厳格なルールが適用されるため、周囲の同僚と見比べてあまり逸脱した装飾やオフィスでのふるまいは避けるべきでしょう。

お土産やお祝いなど

仕事とプライベートをきっちりと分け、職場では仕事以外の話は一切なされない冷たいイメージのあるドイツ人ですが、実際にはお喋りもされますし、プライベートのお祝いを職場でおこなったりもします。具体的には、職場の同僚の誕生日、結婚、出産、退職祝いなどはドイツ人の間で広く認識されている「お祝い事」でしょう。

こうしたお祝い事やクリスマスのようなイベント毎の際に、どのように振る舞うのかもまた社風によって異なる点です。一般的には、こうしたお祝い事の際にはケーキを持ち寄ったり、少しずつお金を集めて花やメッセージカードを送ったりします。

また、周囲をよく観察していると、休暇後に同僚にお土産を買ってくる同僚がいたり、自身の子供が生まれたことを皆に報告に回る同僚などがいることも目にすることができるかも知れません。ここでもやはり、「郷に入れば郷に従え」の精神で彼らの立ち振る舞いを真似ておくことが、より健全な人間関係の構築と、快適な会社生活に繋がります。

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