日本とドイツのワークライフバランス比較:祝日数の違いについて

ドイツをはじめとする欧州の労働環境を考えたときに、「日本より休みが多くて働きやすそう」というイメージを持つ人が多いのではないかと思います。実際ドイツでは法律で労働者の権利が守られていることに加えて、労働組合が強いので、ストライキは日常茶飯事、有休消化率も100%に近かったりします。

ただよくドイツを知る日本人界隈で口にされるのが、「公的な休み(法定祝日数)は日本の方が多い」という話。確かにドイツは支給される有休日数が平均的に日本より多い+有給消化率が高いので「休みが多い」というイメージですが、実際のところどうなのか紹介していきたいと思います。

ドイツの祝日数

ドイツは連邦共和国なので、日本とは異なり、祝日にあたる日や祝日数も州によって違いがあることが特徴的です。2022年の祝日数に関して言うと、全国共通の祝日は9日、その他に州によってあったりなかったりする祝日が+8日、といった形です。ドイツはキリスト教の国なので、「Ostern」(復活祭)や「Christi Himmelfahrt」(キリスト昇天祭)などその多くはキリスト教関連の祝日で、宗教関係でない全国共通の祝日は「Neujahr」(元日)、「Tag der Arbeit」(メーデー)、「Tag der deutschen Einheit」(ドイツ統一の日)くらいでしょう。

◉2022年法定祝日

祝日1

13日・・・バイエルン(BY)

12日・・・バーデン=ヴュルテンベルク(BW)、ザールラント(SL)、ザクセン(SN)、テューリンゲン(TH)

11日・・・ノルトライン=ヴェストファーレン(NW)、ラインラント=プファルツ(RP)、ザクセン=アンハルト(ST)

10日・・・ベルリン(BE)、ブランデンブルク(BB)、ブレーメン(HB)、ハンブルク(HH)、ヘッセン(HE)、メクレンブルク=フォアポンメルン(MV)、ニーダーザクセン(NI)、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン(SH)

全州の中でもっとも祝日数が多いのは、ドイツ文化を代表することの多いバイエルン州です(13日)。ただ、「Mariä Himmelfahrt」(聖母被昇天の祝日)を祝日とするのはバイエルン州内でもクリスチャンが多い地域のみなので、これをカウント外とした場合は祝日数が12日の4州に並びます。この結果を見ると、南部に位置する州の方が北部〜中部に位置する州よりも祝日数が多い傾向にあります。

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日本の祝日数

一方の日本の場合、法律で決まっている祝日は全国一律で、2022年に関しては16日間となります。学校が休みな場合もある「都民の日」や「県民の日」は公的な祝日ではないので仕事は休みになりません(学校休校は茨城県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・山梨県のみ)。

◉2022年の国民の祝日

祝日2

祝日数は日本、トータルの休みはドイツに軍配

単純に祝日数で比較すると定説どおり日本の方が3〜6日ほど多いですが有給休暇も併せて考えると少し話が変わってきます。

ドイツでフルタイム会社勤めの場合、付与される有給休暇日数は週5日勤務で最低20日、週6日勤務で最低24日と法律で定められています(※1)。もちろん性別、年齢、業種、役職、企業規模などの要素によって日数は違ってきますが、通常30日前後、国民平均で年間28.9日付与されているという報告があります(※2)。

つまり、法定祝日10〜13日+有給休暇30日前後でだいたい年間40日くらいは休める日があるということです。ドイツでは雇用主が労働者に有給休暇を取らせる義務があり、有給休暇取得率は100%に近いですから、ほぼみんな年間に40日休んでいるということになりますね。さらに日本と違って病気や怪我の場合は病欠、子供の病気看護休暇なども取れますから、そのような事情で有給が減っていくこともありません。ドイツでは、有給休暇はただ「休息を取ってエネルギーチャージする」ために取るものなのです。

こうしたドイツの労働法は、現地に進出している「ドイツの日系企業」に関しても当然適用対象となりえます。そのため、日本人の中でもワークライフバランスを重視した生活をおこないたい人たちは、ドイツを移住先として選ぶ傾向が多いと言えるでしょう。

【出典】 ※1:Bundesurlaubsgesetz (BurlG), ”Mindesturlaubsgesetz für Arbeitnehmer ※2:TK Krankenkasse, ”Wer hat die meisten Urlaubstage in Deutschland?

一方、日本の年次有給休暇日数は平均17.9日で、実際労働者が取得した日数は10.1日(取得率56.6%)と報告されています(※3)。法定祝日16日+有給取得約10日で考えると、年間休んでいる日数は約26日。病欠のことも考えると、ドイツには2倍近く水を空けられています。昔よりは改善されてきたとはいえ、日本はまだまだワークライフバランスが整った国とは言い難いと言えるでしょう。

【出典】 ※3:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況

まとめ

働くならドイツ、消費者として生活するなら日本がいいというのが、ドイツに移住した日本人の中でよく口にされる言葉でしょう。今回のテーマである休みの多さに加え、労働者の権利が守られていること、閉店法で店舗の深夜営業を禁止して長時間労働がはびこらない体制がきっちり作られていることがその理由です。

しかし裏を返せば、日本のように昼夜問わず24時間コンビニで買い物ができるような利便性はなく、チップを払ってさえも日本で受けられるレベルのサービスを期待することなど到底不可能で、ある意味、消費者側の寛容さと我慢の上で成り立っている働きやすさであるとも言えると思います。

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